こんばんは。ひろあきです。
自分のような双極性障害の人間でも、なかなか躁状態の時は自覚するのが難しいのですが、今被災地の方も躁状態に陥っていると指摘する方がいます。
その方は自身も双極性障害を患っている、作家・建築家で、新政府内閣総理大臣でもある(!)坂口恭平さんです。坂口さんはご自身も今回の熊本地震で被災されて、先日熊本をご家族とともに脱出されています。
その坂口さんが被災地の方の精神状態を心配してのツイートがとても素晴らしいのでまとめてみました。
坂口さんのツイート
【被災者の方へ】熊本の現場、しかも一番大きな被害を受けている熊本在住の記者と電話で話をする。いつもは落ち着いている方だが、完全にハイになっている。ぼくが落ち着かせたくらい。つまり、被災者の多くは防衛本能でいま躁状態になっている。まずはそのことに気づいてほしいです。一時的な躁状態。
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2016年4月21日
つまり、いまは脳内麻薬がかなり大量に分泌している。家が全壊したとしても悲しくない、人が亡くなっても悲しくない、もっとがんばろうがんばろうという精神状態になっている。ぼくも躁状態のときには恐怖心がゼロになってます。しかしそれは一時的なもの必ず上がった分だけ、深く鬱になります。
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2016年4月21日
一時的な躁状態に対処するには、まずそれを自覚する必要があります。記者は避難所の人々が異常な興奮状態になっていると言ってました。悲しいことが起きているはずなのに、それを笑って話している。反動がいつか来ると感じたそうです。しかもその記者自体もすごいハイになっている。現場は躁状態です。
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2016年4月21日
躁状態である自分に気づいたときに僕が行うこと(もちろんこれはなかなか難しくてついつい機敏に動いてしまいます)は「昼寝」です。今、心臓が異常な速度で人間を突き動かしているはずです。心臓は死ぬことを回避しようとしています。そして脳内麻薬を使って行動する力を生み出してます。生きる力を。
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2016年4月21日
しかし、現状その重要な「生きる力」は現場では余震から身を守ることに使われている。余震はこれから数ヶ月は続く。つまり、確実にその躁エネルギーはいつか枯渇し、その後鬱が襲ってくる。それが心配。それよりも脳内麻薬を逃げる力に使うことができないか。将来は見えないかもしれないが生きている
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2016年4月21日
昼寝はそんなバクバクした心臓というポンプを一時的に休ませてくれます。1日数回10分ずつでもいい。ポンプを休ませて心臓の動きをゆっくりさせてください。心臓がいまとんでもない勢いで稼働してます。長期戦になると思うのでそのことを含めてもとりあえず昼寝を奨励します。目と口を閉じて横に
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2016年4月21日
震災時の躁状態ではとんでもない脳内麻薬が出てますので、何時間でも働けます。それこそ覚せい剤でも打ったようになります。戦時中は日本も覚せい剤を元気になる薬として販売してました。資生堂も神の水と名付けて売ってました。とにかく労働時間を減らしてください。三日に1日は完全に休んでください
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2016年4月21日
躁鬱病の僕からみたら、いまの被災地はそのように見えます。太古の昔、マラリアにかかった人々は高熱になりますが、躁鬱病者や統合失調症者は平熱のままだったと本に書いてありました。それまでお荷物状態だった彼らはそのときに初めて介護補助者、治療者として役に立ったのです。だから生き延びた
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2016年4月21日
松岡正剛の千夜千冊684夜『天才と分裂病の進化論』デイヴィッド・ホロビン https://t.co/z6F1wMyagT
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2016年4月21日
この本に書いてありました。非常に興味深い文献です。
躁状態から抜け出すためには、まず携帯電話の電源を切ってください。情報が入ると、全部処理してしまいますので、注意してください。僕は躁状態だから書き続けますが笑、気にせず電源を切ってください。しばらく切って昼寝してください。目も耳も口も閉じてください。情報を処理させないように。
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2016年4月21日
以上、被災者の多くが躁状態になっている、その場合はどうするのか、という対処法について僕の知っていることを書きました。僕も同じように躁状態ではあります。しかし、僕は危機になると平静になるときもあります。今回は少しだけ落ち着いているようです。だから僕も電源を切って目を閉じます。一緒に
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2016年4月21日
自分は遠くに住んでいて家族が被災地に住んでいて避難してと言ってもなかなか受け入れてくれない場合があります。これも躁状態の人によく見られる傾向です。自分は正常だと思っている。うちはこういうとき妻は担当編集者に意見をいってもらう。つまり第三者に頼む。それを試してみてください。
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2016年4月21日
躁状態がひどいほど、後のうつもひどくなる
ここからは坂口さんのツイートを踏まえて、自分なりに解説していきたいと思います。まずはなぜ躁状態のままではいけないのかということですが、躁状態の時は悲しいことやつらいこともあまり気にせず動くことができるのですが、躁の感情の「山」が高ければ高いほど、躁状態の後に必ずやってくるうつの感情の「谷」も深くなります。
うつ病になるくらいで済めばいいのですが(良くないですが)、ひどい人だとそれが元で自ら命を断ってしまったりする恐れすらあります。
双極性障害の治療でも、気分安定薬や抗精神病薬を使って、この躁の「山」とうつの「谷」をなるべく平らにすることを目指します。
昼寝と情報遮断で躁状態を鎮めよう
自分のような双極性障害の人間が躁状態を鎮めるときには、薬の量を増やすといった対応を取るのですが、普通の人が極限状態に追い込まれた時になる一時的な躁状態に対応する方法として、坂口さんは昼寝と情報遮断を勧めています。
これは自分も今まで知らなかったことなので、目からうろこというか、これから実践したいなと思っています。
ほんとに躁状態の時は眠気すら感じず、睡眠時間も短くなりがちですが、目を閉じて30分から1時間位横になるだけでもぜんぜん違うと思いますので、是非実践していただきたいと思います。
躁状態はなかなか自分では気付けない
双極性障害の患者の中には、何年たっても躁状態=調子がいい、うつ状態=調子が悪いと解釈していて、躁状態になるたびに人に迷惑をかけたりする人もいます。要は躁状態であるということに気付けないんですね。
主治医や周りの人に言われてもわからない患者も多い躁状態ですが、被災地で一時的に躁状態になってる人は周りもそうなってる人が多いせいで、余計に自分で気づくことは難しいと思います。
もしこのブログを読んでくださってる方で、ご家族やご親戚、ご友人などが被災地にいる方はその方の言動などを注意深く観察して、躁状態になっているようでしたら、さりげなく前項のアドバイスをお伝えいただけると幸いです。
自分も震災で躁状態がひどくなったことがあります
実は自分も東日本大震災の時、千葉で被災しました。まあ、被災したといっても1週間位断水したくらいなんですが。それでももともとの双極性障害の躁状態がひどくなりまして、躁うつの波が悪化したせいで、14年務めた会社を辞めるはめになり、さらには離婚までされてしましました。
その当時は躁状態の恐ろしさを知らなかったので、あんなことになってしまったのですが、そういう大失敗をしている自分だからこそ、この坂口恭平さんのツイートは伝えなくてはならないと思い、今回の記事を書いたのでした。それではまた。