こんにちは。ひろあきです。
今回はPhaさんの「ニートの歩き方」を読んでみました。この本は、Phaさんのデビュー作でPhaさんの思想の原点がわかって、とても面白かったです。
そんな「ニートの歩き方」の中から、特に印象に残った箇所をピックアップして挙げていきたいと思います。
ニートにも向き不向きがある
ニートに向いてない人は以下の様な人たちだそうです。
- 街に出て飲み会とかするのが好きな人
- 服や買い物が好きな人
- ギャンブルに走ってしまう人
確かにお金を使ってしまう人は、収入の少ないニートには向いていないですね。逆に向いている人はこんな人だそうです。
思うに、何かちょっと物を作ったりすることを楽しみにできる人は貧乏に強い。創作は消費ほどお金がかからないし、作ったものがお金に変わることもときどきあったりする。
ちなみに自分は服や買い物が好きという点ではニート向きではありませんが、ブログを書くのが今は楽しいので、そういう点では全く素質がないわけではないのかなという感じです。
ニートは自己責任か?
筆者はニートやひきこもり、生活保護受給者などを自己責任論のもとに切り捨てようとする動きに強く異論を唱えていて、自己責任論者のことをこう述べています。
自己責任論を言う人たちは、そもそもある程度恵まれた環境で育って、たまたま予想外のアクシデントにも合わずにこれまでの人生を送ってこられたせいで、そうじゃない人生のことが想像できていないんじゃないだろうか。
自分も予想外のアクシデントでドロップアウトした身なので、筆者の意見に同意です。また、筆者はこうも述べています。
個人の行動の結果をその人が全て負わなければいけないのなら、社会や国家などの共同体がある意味はないだろうと思う。
あと、逆に言うと社会や国家の力が弱体化しているからこそ、過剰な自己責任論者が増えているのかなという気もしました。
人間は過去に生きる生き物
また自己責任論がはびこる要因の1つに、今の社会の中心になっている上の世代が若かった頃には「誰でも」「普通に」「頑張れば」それなりに平凡な幸せを手に入れられるという希望を持つことができたことを、筆者は挙げています。
そして若かった頃の常識で世界を見てしまう上の世代は、全く違う状況下に置かれている今の若者にもその価値観を押し付けてしまっていると指摘しています。
ただこれを世代間闘争の材料にするのではなく、筆者はこうも述べています。
人間は、自分が若かった頃の常識を当たり前と考えて、そのまま生きていくものだというだけだ。今若い人間も年を取るとそうなっていく。別に年寄りに限らず人間は過去に生きる生き物で、若い人間は抱えている過去が少ないから自由に動けるというだけにすぎない。ただ、大事なのは、上の世代が抱えている固定観念に若い人間が縛られる必要は全くないということだ。
このことが頭にあるだけで、かなり今の窮屈な常識から逃れられると思いますし、世の中の息苦しさもかなり楽になるのではないでしょうか。
働くといくこと
筆者は日本社会の便利さ・快適さにも疑問を呈します。
日本の生活は確かに便利で快適だけど、その便利さは労働に対する同調圧力や責任感で支えられていて、そのせいで多くの人が心を病んだり自殺したりしているのなら別にそこまでの便利さは要らないと思う。もっと仕事が適当な人間が多い社会のほうが社会全体の幸福度は上がるんじゃないだろうか。
これに関しては全くその通りだと思います。日本の社会は顧客至上主義に陥っていて、サービスも過剰になっていると思います。顧客をつけあがらせているから、モンスターカスタマーも増えているのです。
世の中の人全員が、客は偉いという意識を少し遠慮するだけで、ぐっと暮らしやすくなるはずだと考えます。
また、自分のように普通に働けない障害者について、以下のように述べていてこの本の中で一番印象に残っています。
あと、「働かざるもの食うべからず」っていうのなら、うまく労働できない老人や病人や障害者はどうしたらいいのだろうか。
「そういう人は働きたくても働けないから仕方ない、ニートとは違う」と言うひともいるけれど、その考え方もおかしいと思う。「老人や病人や障害者のように働きたくても働けない人は仕方ない」という意見は、上から目線で「本当はだめだけど特別に見逃してやる」って言ってるように感じる。それは危ないんじゃないだろうか。その考えをもう何歩か進めると、「働けない老人や病人や障害者は不要だから処分しよう」という、ナチスドイツみたいな優生思想になってしまいそうだ。
自分は今A型作業所で働いているのですが、やはり労働については負い目を感じていて、世間からの無言のプレッシャーも感じていたのですが、その正体を言い当てられた感じがして、気持ちが楽になりました。
今世間では「一億総活躍社会」とか言って、無理矢理にでも働かせてやろうという空気が充満しているような気が自分にはしているのですが、この空気が筆者の言うような方向に進まないことを祈っています。
そして、筆者は働くということをこう定義付けています。
結局、働くことって人生というゲームの中にたくさんあるミニゲームのうちの一つにすぎないんだと思う。ゲームは楽しいし、やっていると充実感があったりするけど、義務になるようなものではない。必要だったらやったらいいけど嫌だったら好きに放り出していいものだ。
この言葉は仕事を義務だと思ってやっているすべての人に捧げたいと思います。そう仕事は義務ではないのです。仕事で消耗して、心を病んだりしてる人はそのクソゲーは早くやめてしまって下さい。
まとめ
この「ニートの歩き方」は第3章で具体的にニートとして生きるにはどうしたらいいかという方法論が語られますが、それは正直それほど目新しい内容ではありません。
この本はニートのマニュアル本として読むと肩透かしを食います。この本の最大の魅力はニートによる働くということに対する異議申し立てや閉塞した日本社会に対する異議申し立てだと思います。
そんな訳で、この本を是非読んだほうがいいのは、
- 今の日本社会に消耗している人(特に若者)
- 働くということに改めて考えてみたい人
- 働かざるもの食うべからずと考えている人
ですね。ニート志望の人も読んだら面白いと思いますが、実践的な方法はネットで調べたほうがいいように思います。
それではまた。

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