双極性障害サバイバル

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『世界史の大転換 常識が通じない時代の読み方』で中国について学んだ3つのこと

 こんばんは。ひろあきです。

 

 今回は先日読んだ、佐藤優さんと宮家邦彦さんの対談本『世界史の大転換 常識が通じない時代の読み方』を読んで学んだ中国・中国人について学んだことを書いていきます。

 

簡体字に隠された意図

 今の中国(中華人民共和国)では文字として簡体字が使われていますが、それには以下の様な意図があるということを知り、正直震えました。

 中国共産党がなぜ画数の少ない簡体字にしたのか。表向きは識字率を上げるためですが、その本質は、国民からそれ以前の知識を遠ざけるためでした。簡体字教育が普及すると、それ以前に使われていた繁体字が読めなくなり、共産党支配以降に認められた言説だけが流通するようになる。歴史を断絶させるための情報統制を行なったのです。

 これと同じことはロシア革命後の旧ソ連でも行われたそうです。ここまで聞くと、「共産主義恐るべし」と思ってしまいますが、実は日本でも似たようなことが行われたそうです。

 

 それは敗戦後に当用漢字の導入、新漢字・新仮名遣いの制定が行われたことです。これは恐らくGHQが主導したものでしょう。

 

 これを読んで思ったのは、学校教育というものは国家が国民を支配するためという側面もあるのだということです。特に国語や歴史にはそういう意図が隠されているということに注意して、接するべきですね。

 

中国共産党の実態

 中国のエリートに、国家という考え方は希薄だろうと思います。中国の内政を考える際、私はいつもこう説明しています。中国共産党は巨大な「自由民主党」であり、エリートたちは非公式にそれぞれ部族・一族別の派閥を形成していると思えばよい。実際に中国共産党内の党内派閥は十数個あるのですが、そこには自民党のような「会長」もいなければ「事務局」もない。共産党は結党以来の「利権」システムを受け継ぐ大物と、地縁、血縁、同窓などを通じてつながる非公式利益共同体の連合体です。問題はカリスマ政治家の不在と、国家組織の官僚化で、国民統合に必要な改革が遅れていること。インターネット社会の到来で、党の管理能力はいっそう低下しています。

 中国共産党が共産主義に基づいて動いているわけではないことは前々から知っていましたが、そういう仕組みで動いているのだということを非常にわかりやすく解説してくれています。

 

 もちろん実際にはここまで単純なものではないのでしょうが、中国共産党を理解する上での補助線としては、十分に通用するものでしょう。

 

中国人の生命観「気」

 中国では、人間は「個」として存在するとともに、「家族の一員」としても存在しています。家族の一員である以上、過去には一族の始祖から祖父母、父母へと続き、将来には子、孫から末裔に至る「生命の連続感」が強く意識されている。中国人はこれを「気」と説明しています。

 中国人の現世における個々の行動は、こうした強烈な「気」、すなわち「生命の連続感」のなかで意識され、自制されてきたものです。言い換えれば、中国人はつねに先祖と子孫からみられているので、「ご先祖様に申し開きのできない」「一族の名を汚す」ような行動は自然と回避される。彼らは正しいことをしていれば、現世でどんなに迫害されようとも、己の死後に子孫から「立派なご先祖様として尊敬される」という固い信念によって、「心の救い」を得てきたのだと思います。

 この説明は自分にとっては目からうろこでした。中国人というのは、徹底した個人主義というか、悪く言うと自分勝手な人たちかと正直考えていたのですが、こういう行動規範があるのですね。

 

 ただ心配なのは、こういう素晴らしい行動規範が中国共産党の”教育”でないがしろにされていないかということです。多くの中国人にこの考え方が残っていることを願います。

 

その他にも 

 今回の記事では、中国についてこの本で学んだ3つのことを書きました。この本ではその他にもナショナリズム、中東情勢、中央アジア、ヨーロッパ、アメリカ、そして日本のことについても書かれており、どれもとても刺激的で面白い内容となっています。

 

 そしてこの本は2016年6月に出版されているので、内容がとにかく新しいというのも魅力の1つです。世界情勢についてより理解を深めたい方にとってはおすすめの1冊ですので、是非読んでみてください。

 

 それではまた。

 

 

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